耳の症例:  騒音性難聴・耳閉塞感・耳鳴りとサフォー症候群の治療

2021年2月、久しぶりの患者様がお見えになりました。
転居とコロナ禍が重なり、お仕事も変わられてしばらく来院できなかったのですが、久しぶりに治療をご希望とのこと。喜んで治療させていただきました。

40代、女性。A様。東京都在住。
2018年12月、お仕事中にスピーカーの事故により、騒音性難聴を患いました。

右耳に軽度の難聴。両耳で音がこもって聞こえ、音が増幅する。雑音が耳に刺さって痛い。耳鳴りが大変うるさい、という種々の症状にお悩みでした。

また特筆すべきこととして、10代の頃からSAPHO(サフォー)症候群という原因不明の症状をかかえていらっしゃいます。Aさんの場合は関節の症状が中心で、首から腰までの背骨の中心部分が痛い。立っていても寝ていても、何をしていてもずっと痛い。夜も寝苦しいという症状です。

耳の症状、それからサフォー症候群、2つの治療を並行していくことになりました。
2019年の3月〜2020年の2月まで、1年間、定期的に治療させていただきました。

発症してから初診でお越しいただくまでに3か月以上が経っています。
「改善には少なくとも3か月以上かかると思います。
また、30年もの長い間患っていらっしゃるサフォー症候群のために、もしかしたらそれ以上に時間がかかるかもしれません」と初診時にお伝えしました。

  • 2〜3回目の治療で耳の「こもり感」は取れてきました。
  • お背中の治療も試行錯誤を加え、3回の治療で「背中のつらさはちょっとすっきりした。治療の後、近年ないぐらいグッスリ眠ることができ、その後も調子がよい」と言っていただきました。

Aさんのお背中の原因箇所ははっきりしており、胸椎4番の動きが悪く、その周りが固まることによってお背中全体の痛みに波及していますので、胸椎4番の治療をすることにより、症状は改善します。

  • 4月以降は、耳鳴りの治療とお背中の治療を中心に行っていきました。
  • 治療後しばらくは背中の調子がよくスッキリとしていて、そうすると耳のこもり感もなく聞こえやすい。(耳鳴りは続いている。)背中の調子が悪いときは耳の状態も悪いということで、調子の良い時期には10日おき。調子が悪い時期には7日に1度の治療をしばらく続けました。
  • 6月頃には、雑音が耳をつんざくような症状はなくなってきて、電車内など人がガヤガヤしているところでつらいという症状が改善しました。
  • 8月頃、電車がやってくるときの轟音に耳をふさぐ、といった「騒音が増幅される」症状がなくなりました。
  • その後、耳鳴り、耳の聞こえは一進一退を繰り返しながら、少しずつ快方に向かっていました。
  • 11月頃、転居に伴いまして、ストレスと過労からくると思われる、首の痛み、四十肩のような症状に悩まされました。そちらも根気よく治療をして、改善してきたのが2月頃です。

一年の通院を振り返り「平均として、耳は半分以上良くなった」とおっしゃっていました。

その後一年は、なかなかこちらにいらっしゃることができず、近所の鍼灸院に通っていたそうです。
「正直言って、久嶋先生の方が治療の効果が高いので、こちらに来たかったのですが……」とおっしゃっていただきましたが、やはり、治療は続けることが大事です。来られそうなときにはこちらに来ていただいて、来られないときはぜひ近所の治療院に通ってください、とお話ししました。

まとめますと、A様はサフォー症候群という難しいご病気があるため、他の人より改善のスピードがゆるやかではございましたが、治療を始めて早期に症状の改善が見られ、一年間かけて全体としては半分以上良くなられたということです。

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