当院には多くの難聴の患者様、耳鳴りや「耳のこもり感」がある患者様が来院されます。
そうした患者様には、次のような「生活上の注意事項」をお伝えしています。
1. テレビや音楽の音量を大きくしすぎない
同じ部屋にいる、2m先の人と会話できるぐらいの音量が良いとされています。
2. 周囲の雑音をカットできるヘッドフォンを使う
周囲の雑音の影響でボリュームを上げるのはよくありません。ノイズキャンセリング機能があるものを使うのもおすすめです。
3. 外部の音がうるさい場所では、耳を守る道具を使う
耳栓で遮音効果が高いものとして、練り消しゴムのように丸めて形を変えられるタイプのものや、デジタル耳栓がおすすめです。冬は耳を冷やさないように、イヤーマフを使うのもよいでしょう。
4. コンサートや映画館など大きな音がする場所に注意する
5. 耳の中にむやみに異物を入れない
指、綿棒、ティッシュなどを入れるときも注意してください。
6. 難聴の原因となる病気に気をつける
中耳炎、メニエールなど。ある日突然難聴になる「突発性難聴」もこわい病気です。突発性難聴になったら、できるだけ早く医師の診察を受け、病院での治療を開始しましょう。
以上の6項目です。
イギリスでおこなわれた調査では、高度難聴ではなく中程度の難聴(普通の音量の会話で聞きまちがいがある)の人で、認知症のリスクが1.6倍もあったそうです。
難聴があると会話が難しく、周囲の人間関係から孤立してしまったり、聞き取れない音を類推するために脳が疲れて、聞き取り以外の認知能力が低下するためと考えられています。
加齢により全身の血管が硬くなると、耳への血行も悪くなり、徐々に難聴が進みます。
いまの聞こえを守るために、血液サラサラを保ち、自分でできることは行なっていきましょう。
参考:『教養としての健康情報』市川衛・著、講談社、2019年刊行