顔面神経麻痺後遺症の症例: まぶたの引きつれ、口の周りも動かしにくい

2022年11〜12月の症例です。

江東区在住、60代女性。T様。
1年前に左側の顔面神経麻痺(三叉神経麻痺)になり、その後違和感が続いています。

症状

左まぶたが開きにくく、右のように自由に動かしにくい。
寝ていても目がコロコロする感じ。乾いているのかと思い目薬をさしている。

5年前にも一度、顔面神経麻痺になったことがあり、そのときは1週間点滴をしたら良くなったが今回後遺症が残った。

「このままずっと治らないのかと思うと落ち込んでしまう」とのこと。

治療

神経の症状(神経痛、神経麻痺やその後遺症)は鍼灸が得意とする分野です。

T様のお体を拝見すると、首や肩のこりがひどく、ふくらはぎがパンパンに張っています。腰が痛くなることもあり、今年は1〜2回ひどい腰痛に悩まされたそうです。

全身の血流が後遺症の治癒にも影響することを説明し、まずはお背中、ふくらはぎの治療から始めました。
もぐさを使って背中やふくらはぎの血流を促進します。

次に温灸にてお顔の筋肉を温め、ツボに針をしました。

経過

1回目の治療で3割良くなりましたが、すぐに元に戻ってしまいました。
2度目の治療では刺激を強め、顔面の鬱血を取り強力に血行を改善。3割良くなり、効果は前回より長持ちしました。
3回目の治療では5割まで改善し1週間調子が良かったそうです。一時的に引きつれることがあっても長続きしなくなったとのこと。

4回目の治療では針を抜いたときに自然に出血し、さらに鬱血が取れたようです。仕上げに少量のクリームを付けて手ですべらせ、ドレナージュ(マッサージ)を行うとお顔色も良くなり、今まで一番いいと言っていただきました。
5回目も4回目と同様の治療。治療前に「8割治った」と言っていただき、治療後はほとんど良くなったようです。

5回の治療で一旦区切りとし、再発防止のアドバイスをお伝えして治療を終えました。

再発防止のアドバイス

T様の現在のお体の状態に合わせ、3つのアドバイスと下半身のストレッチの方法をお伝えしました。

  1. 防寒……真冬の外出にはニット帽など帽子をかぶり、横顔に風が当たらないように。
  2. 軽い運動……ラジオ体操、テレビ体操、ヨガ、軽いストレッチなど。まずは1日5分〜10分の軽い運動を行ってください。
  3. ふくらはぎの揉みほぐし……YouTubeを見ながらふくらはぎを揉み、下半身の血流を改善しましょう。

終わりに

1年も症状を引きずり、治療前は「このまま治らないのではないか」と心配されていたT様。表情は固くこわばっていて、無表情に近い表情でした。
1回目の治療後、初めて笑顔が見られ、その後は本来の明るさを取り戻したように柔らかい表情を見せてくださるようになりました。

顔面神経麻痺の後遺症はあえて治療しなくても、何年かすれば自然と治っていったかもしれません。
ですが、その間深く悩んでしまったり、表情がこわばったまま生活していればメンタルや周囲の人間関係にまで悪影響が及ぶこともありえます。

鍼灸で治療しやすい疾患ですから、今悩んでいる方はぜひお近くの鍼灸治療院に「治療できるかどうか」問い合わせてみてください!

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