患者様から聞いた話:さいたま市 はんがい眼科の倒産【2022年3月追記】

「先生、聞きましたか? さいたまのはんがい眼科が倒産したそうです」
驚きました。

【以下、報道されている内容】

11月15日、東京地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人には松下 満俊弁護士(梶谷綜合法律事務所、東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル18階、TEL 03-5542-1453)が選任された。負債総額は12億円内外。破産債権の届出期間は12月20日まで、財産状況報告集会の期日は令和4年3月7日午前10時。

平成29年4月開業、令和元年10月に法人化した眼科クリニック。さいたま市見沼区において「はんがい眼科」を開院し、最新の眼科医療を取り入れ、白内障や緑内障などの日帰り手術や小児眼科の診療にも対応する他、保険診療以外にも自由診療の眼内コンタクトレンズによる視力矯正や老眼治療などの医療サービスを提供してきた。積極的な事業展開で令和2年8月に東京都中央区に「板谷アイクリニック銀座」、今年6月には東京都新宿区「はんがい眼科新宿センタービル」を相次いで開業し拡大基調をたどっていた。

しかし、令和2年に入り新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、手術などの患者受け入れの制限や、不急の受診控えなどを背景に事業収益は低調で推移していた。都内のクリニックについても同様に安定した患者数を確保できず、長期化するコロナ禍に医療機器などの設備投資負担も重く、資金繰りは悪化し事業継続を断念。今回の措置に至った。

【以上、東京経済ニュースより】

当院の患者様にも通院中の方がいらっしゃいます。

来院された折に、お話を聞いてみると……

「なにか連絡はあったんですか?」
「いや、なにもないですよ。そろそろ行こうと思っていた矢先に近所の人から聞いて知りました。散歩のついでに見に行ったら、貼り紙がしてあって、駐車場なんかも全部囲いがしてありました」

「次の定期検査はどうされるんですか?」
「仕方がないので、以前通っていた眼科に戻りました。今更と思ったんですが、幸い、なにも言われなかったので……」
「いや、それは大丈夫でしょう。『先生が気に入らないから変わった』ということではなくて、通院の都合とか、患者様にもいろいろありますから。先生も慣れていて、そういうことは気にされないと思います。これまでの視野検査の結果は持って行かれましたか?」
「最新のものだけ持って行きました。それを見て、先生は『あまり変わっていないね』と言っていました」
「ここのところ大きな変化はないですものね。ご自身で視野検査の結果をお持ちになっていて、本当に良かったです」

コロナ禍で「受診控え」などがあり病院の経営が厳しいと聞いていましたが、眼科でもこういうことがあるとは驚きました。

普通、医院を閉めるときには近隣の医院にカルテを引き継いだり事業継承する場合もあります。
加齢に伴う引退などの場合には前もってお話があるでしょうし、患者様が希望する医院があれば、紹介状を書いて情報の引き継ぎもしていただけるものです。
カルテを引き継ぎできない場合にも、医師は閉院後5年間カルテを保管するように義務付けられています。しかし、このように突然倒産した場合、カルテはどうなってしまうのか……。
大切な医療記録が失われないようにしていただきたいものです。

緑内障の患者様におかれましては、

  1. お薬手帳
  2. 眼圧の記録
  3. 視野検査の結果(印刷物)

この3点をご自身で管理することをお勧めします。

医院任せにせず、これだけはぜひご自身の手で管理なさってください。

追記:

その後、元はんがい眼科にいた先生が新規開業され、1月より診療開始したそうです。

住所・電話番号も元のままということですから、おそらく事業継承され、カルテも引き継がれたのでしょう。

患者様の大切な医療情報が失われずに済み、ほっとしました。(2022年3月追記)

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