Q:黄斑変性症について、今の病院でいいのでしょうか?

黄斑変性症おうはんへんせいしょうの患者様よりご質問いただきました。

Q:今かかっている眼科クリニックでは病気について詳しい説明もなく、なんの治療もしていません。
視力が下がってしまったこともあり、このままでいいのかどうか不安です。
病院を変えた方がいいでしょうか?

まずは病名の確認を

黄斑とは「見る」ために最も大切な部分、眼球の裏側にある「網膜」のど真ん中のことです。黄色い色素が多く存在するため黄斑と呼びます。

黄斑の病気はいろいろあります。まず、あなたがどの病気なのか、医師に確認してください。
一番多いものとして、黄斑変性、黄斑浮腫。
また、特殊なものとして黄斑円孔、黄斑上膜があります。
それぞれ黄斑の状態によって治療法が異なります。まずは病名を確認しましょう。

進行性のものかどうか?

次に、病気が進行性のものかを確認してください。
一般的に進行性の黄斑変性には注射を勧められることが多く、進行性でない場合は「治療しなくて大丈夫です」と言われることが多いです。

眼科の選び方

黄斑の病気を詳しく診ることのできる「眼科専門医」にかかるのがおすすめです。
診療項目に「眼科」を掲げていても、眼科に詳しくない医師が担当しているケースもあります。ホームページや院内に「眼科専門医」と書いている医師ならば比較的安心できると言えます。

黄斑部を詳しく診るためには、OCT(光干渉断層計)という検査機器が必要です。
検査結果は毎回紙で貰うようにすると、自分でも経過をチェックできますし、病院を代わる際にも役に立ちます。

治療方法にはこんなものがあります

  • 黄斑変性の前段階・悪化しにくい黄斑変性(萎縮型):生活習慣の改善
  • 日本人に最も多いタイプの黄斑変性(滲出型しんしゅつがた):注射治療、PDT(悪い血管をレーザーで焼く治療)で進行を抑える。

注射は1か月ごとに3回続けて行い、その後も1~2か月ごとに行う定期治療が最も効果が高いと言われます。
注射薬自体が12~18万円と高額なのに加え、前後の検査も合わせると、健康保険を使っても非常に高価な治療となります。
注射の頻度については医師と相談の上、高額医療控除制度を申請するとよいでしょう。

レーザーの費用は、医療施設によってまちまちです。

これらの治療は進行を抑えることが主目的です。治療によって視力が回復するとは限らず、視力がよくなる確率は30~40パーセントです。

A. 質問に対する回答

以上を踏まえて、「眼科専門医」を定期的に受診することをお勧めします。
病気について、なるべく丁寧に説明してくださる先生がいいでしょう。新しい治療方法が出てきたときに紹介してくれるような、研究熱心な先生であるかどうかもチェックポイントです。

OCT検査だけは検査できる治療機関で受けて、後の定期的な検査は近所のクリニックで受ける方法もおすすめです。

関連記事

  1. 自治体の眼科検診の紹介【杉並区の場合】
  2. Q: 黄斑変性症に針は有効ですか?
  3. 黄斑変性症の症例: 非常に見つけにくい新生血管
  4. 黄斑変性症の症例: 網膜裂孔の手術を迷っていた方
  5. 症例:運転免許の更新を目標とする針治療
  6. 黄斑変性症の症例: 注射の予後、良好な経過

症状別にブログを読む

最近の記事

PAGE TOP