花粉症の季節となりました。私自身もアレルギーがあるため、毎朝欠かさず目薬をさしてから出勤しています。
ところで、目薬は正しくささないと、効果がないばかりか副作用が出ることもあります。
緑内障の患者様には初診時に毎回説明しているのですが、ここでは目薬のさし方を今一度確認ご紹介いたします。目薬をさす病気では、緑内障を始め、感染性結膜炎、アレルギー性結膜炎、白内障、ドライアイ、眼精疲労など共通のさし方です。
- 感染症を防ぐため、石けんで手を洗う。
- 下まぶたを軽く引いて、目薬を1滴落とす。このとき、スポイトの先にまつ毛が触れると中に雑菌が入りやすいので、まつ毛から充分離して行ってください。
- 目薬をさしたら、まぶたを閉じ、目頭を軽くおさえる。目安は約1分。
- あふれた目薬は、清潔なティッシュペーパーで拭き取る。
元々、下まぶたの中の容量は30μLしかありません。そこに自然の涙液が溜まっているので、さらに空き容量は少なく、目薬の一滴が30〜50μLありますので10〜20μLぐらいは目の外にあふれ出る計算です。あふれたものは新しいティッシュで拭き取り、清潔を保ってください。
参考:1ml(ミリリットル)=1000μl(マイクロリットル)
また、目には「鼻涙管」というルートがあって、涙液が目頭から鼻の中を通じて喉に落ちていくようになっています。一度まばたきすると8割はこのルートを通じて吸い込まれていきますから、目薬をさしたら、すぐに目頭を押さえ、まぶたを閉じて1分間待つことによって、より多くの薬剤を目の中に吸収させることができます。
このように、ほんの1分間工夫するかしないかで、薬の効き目が大きく違います。せっかく目薬をしても8割捨ててしまうのはもったいないですから、ぜひ、正しい方法で薬の効果が最大限発揮できるようにしてみてください。
【出典】
図:『レシピプラス2018年秋号 「1滴」のチカラを科学する!点眼剤』,南山堂,2018年