2022年12月〜2023年2月の症例です。
東京都在住、50代女性。耳の治療でかねてより通院されていた患者様。A様。
2022年11月より体調が悪く、かぜを引きやすい状態になっていました。元々ある関節の症状に加えて、股関節に痛みを生じたりぎっくり腰になったりと非常に不安定な状態です。
11月末に新型コロナで陽性になり、所定の期間自宅療養しました。3週間経ってもせきが出、息苦しく、倦怠感がひどくて座っていられない状態。
「これでは仕事ができない」と後遺症外来を受診して一時休職されることになりました。
それから明眸治療室にお越しになり、お話を伺った上で後遺症の治療を開始しました。
医師のアドバイス
医師からは「今の状態で仕事を続けるのは難しいのでは?」と訊かれ、診断書を書いてくださり休職できることになりました。
そのときのお話で「後遺症が長引くと、1年、2年と寝たきりになってしまう人もいる。しばらく休んで体力を回復したほうがよいのでは」と言われたそうです。
後遺症の内容は人によって様々ですが、A様は呼吸器の症状があるため、気管支拡張剤を出され「せきが出なくても予防のためにしばらく飲んでください」と言われました。そのほかには漢方薬が処方されました。
鍼灸治療
病院で漢方薬を処方された場合は「ほかに方法がない」ということです。そういうときこそ、鍼灸がお役に立てるかもしれません。鍼灸・漢方は両方とも中国医学から発祥しており、本来は同時におこなうものです。
A様は呼吸器の症状に加え、せきばかりして呼吸に使う筋肉が疲れ、首の右側の筋肉が突っ張って痛い。また、くちびるの粘膜が弱っており、趣味の吹奏楽をするときに摩擦で腫れ、真っ赤にただれてしまう。(くちびるの症状については金属アレルギーも考えられます)
コロナの前からの症状が悪化している。(つまり、その人の元々持っていた弱点の部分が後遺症として出やすい)などの症状がありました。
まずは呼吸器の炎症を鎮め、突っ張ってしまった筋肉の緊張を取る、あとは弱点の部分にもやさしくアプローチして全部で6回、後遺症の治療をしました。
1月中旬には呼吸器の症状も落ち着き、体力も回復してきたので、医師の診断書を得て仕事に復帰されました。
そのあと通常の治療コースに戻しました。
感想
A様は11月頃非常に体調が悪く、体力が弱っていたため、コロナにかかり、また後遺症が続いてしまったのだと考えます。仕事に復帰できるまで2か月かかりました。
普段元気な人でも陽性になった後は1か月ほど体調不良になりやすいそうです。後遺症を長引かせないためにはこの期間に十分休養することが大事です。後々のことを考え、決められた日数を終えても、体調不良があれば休みを延長した方がよいでしょう。
1か月もすれば、多くの人は体調が回復します。
1か月を過ぎても日常生活に支障をきたすほどのひどい後遺症を患う人は100人に1人程度と言われています。
そういう方はかかりつけ医に相談するか、後遺症外来を受診し医師の診察を受けてください。
そこで漢方薬を出された場合、並行して鍼灸を試してみるのもよいでしょう。ぜひ、お近くの鍼灸院に問い合わせてみてください。
(明眸治療室は目と耳の治療を専門としており、そのほかの治療はご紹介の患者様のみとしています。また、現在新規の受付を制限しています。新型コロナウィルスの後遺症の治療、ご希望の方はお近くの鍼灸院、または、市区町村の鍼灸師会にお尋ねください)