光視症の体験談:目のまわりに弱い光がまわっている

光視症の体験談

70代女性、白内障のため通院しているNさんから聞いた体験談です。
2019年2月。花粉症で目がかゆくなり、目を擦った後、「視界の周りに弱い光がまわっているような感じ」がありました。光視症です。
このときは「アレルギーの目薬を使用して、目は擦らないように」というアドバイスと、眼科のチェックを受けるように勧めました。眼科では「網膜が引っぱられている」と言われたそうです。ちなみにNさんは、60代のときに左目に網膜剥離の既往歴があります。
5月、目がゴロゴロするので眼科を受診したところ、
「眼球がしぼんで目の表面にシワができています。そのせいで目がゴロゴロするので、ドライアイではありません。そのうちにシワが伸びれば、ゴロゴロしなくなるはずです」と言われたそうです。

Nさんは網膜剥離の既往があるので心配しましたが、硝子体がしぼんで網膜から離れているだけで、今回網膜は無事だったそうです。安心しました。
当院ではいつも通り、白内障対策として、目の周りの血行を良くする治療を行いました。

光視症のメカニズム

眼球の内部を満たすゼリー状の物質(硝子体)は加齢とともにしぼんで、網膜から離れていきます。

硝子体が網膜から離れていく図/『眼科ケア 2005年冬季増刊』メディカ出版、2006年、p204より
硝子体が網膜から離れていく図/『眼科ケア 2005年冬季増刊』メディカ出版、2006年、p204より

このときに硝子体に濁りが生じ、一時視界に影が見えることがあります。これが飛蚊症です。糸くずや虫のような黒いものが見えます。多くの場合、網膜から遠ざかるにつれて影は薄くなり、飛蚊症は軽くなります。
硝子体が網膜から離れていく現象は、50代でおよそ50パーセントの人に、60代で60パーセントの人に、70代ではほとんどの人に起こると言われます。また、近視の人は眼球の前後の長さ(眼軸)が普通より長いために、若い人でもこの現象が起こることがあります。

人によっては、硝子体が網膜にくっついているところがあり、この部分が離れようとするときに網膜が引っぱられて、閃光が走ったように見える症状が起こります。これを「光視症」と言います。
「光視症」が起きたり、「飛蚊症が急に増えた」「視力が突然悪化した」「視野の一部が欠けている」などの症状が見られたら、すぐに眼科を受診してください。網膜が破れてしまうと、視力が失われる危険があります。

「網膜裂孔」の図解/『眼科ケア 2005年冬季増刊』メディカ出版、2006年、p205より
「網膜裂孔」の図解/『眼科ケア 2005年冬季増刊』メディカ出版、2006年、p205より

参考文献:『眼科ケア 2005年冬季増刊』メディカ出版、2006年

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