網膜・黄斑の病気に対する専門鍼灸
網膜とは、簡単に言うと眼球を包んでいる3種類の膜のうち、最も内側にある膜です。光を感じる神経細胞が多数存在し、隣同士が手をつないだネットワークとなって情報を脳へ伝達します。
網膜にある神経細胞は生まれたときに持っている数を最大として、それ以上増えることはありません。生涯を通じ、なるべく多くの数を温存することが重要です。
当院が対象としているのは、
- 眼底出血・網膜剥離後の視力障害
- 黄斑変性症を始めとした黄斑部の病気
- 糖尿病網膜症
- 網膜色素変性症
です。
自律神経を整え、全身の血流を良くするとともに、目の周りの血行を改善することを目的として鍼灸を行っています。
当院では、眼窩に針を通すような危険手技は一切行ないません。安全な方法によって、眼球の外側の筋肉に針をしていきますが、それでも網膜の血流に寄与することは可能と考えます。
もしも直近1か月以内に出血を起こしている場合には、刺激を最小限にとどめ、今後の出血を起こしづらくすることを目標として施術します。
眼科手術を受けた患者様は、原則として、術後4週間置いてから施術可能です。
【料金】
- 初診:税込8,800円(所要時間:90分程度)
- 2回目以降:税込7,700円
- 現金・クレジットカード・電子マネー利用可能
完全予約制: 080-6586-3756
1.黄斑変性症
「黄斑」というのは眼球を包んでいる網膜のうち、ど真ん中にある大切な部分を言います。黄色い色素が多く存在するため「黄斑」と呼ばれています。
黄斑変性症は、光による自然のダメージ、あるいは加齢によって、網膜が変化して真ん中が見えづらくなったり周辺が歪んで見えたりする病気です。
そうすると体は、網膜の下の層にある脈絡膜から新しい血管を伸ばしてダメージを回復しようとします。このときに血管が壊れて出血したり、水分が出てむくんでしまうことがあります。むくみが出るタイプを「黄斑浮腫」と呼びます。
黄斑変性の前段階で悪化しにくい「萎縮型」の場合、生活改善がおもな対処方法となります。
日本人に最も多い「滲出型」の場合、浮腫が起こっている場合は、注射やレーザーによって悪化を食い止める治療をします。光を遮り、全身の血流を良くする生活習慣も大切です。
2.黄斑上膜・黄斑前膜
「黄斑」の上に膜が張る病気です。薬では治療できません。膜があっても特に問題なく過ごせる人もいますが、視力低下が起きる場合には硝子体手術を行います。硝子体手術では眼球に小さな穴を開けて、中身のゼリー質を取り出し「人工眼内液」を充填して元通りの形に保ちます。手術によって視力を改善するというよりは、これ以上視力を悪化させないための治療です。
この病気も光を遮ることと、全身の血流を良くする生活習慣が大切です。
3.黄斑円孔
「黄斑」に穴が開いてしまう病気です。硝子体手術によって穴をふさぐというのがおもな治療方法となります。黄斑円孔の場合にも、光を遮り、全身の血流を良くする生活習慣が大切です。
4.糖尿病網膜症
糖尿病の人は血管がもろくなり、さまざまな合併症を併発することがあります。このうち、細かい血管の障害によって起こるのが「糖尿病網膜症」です。
これは、網膜の細かい血管に血糖がこびりつくことにより出血しやすくなる病気です。突然に大出血を起こして視力が低下し、失明に至ることもある大変こわい病気です。
また、「糖尿病網膜症」の5人に1人は「黄斑浮腫」を起こすと言われています。「黄斑浮腫」になったら、初期のうちに注射やレーザーの治療をすれば視力低下を最小限に抑えられるでしょう。大幅に視力が低下した後で、元に戻すことはできません。
5.網膜色素変性症
網膜色素変性症は、遺伝子異常によって光を感じる細胞が障害される病気です。
学童期に発症する「早期発症型」と、20〜40代で病気に気づき、30〜40代で夜盲が現れる「老年型」の2種類があります。老年型の場合は進行がゆっくりで、高齢になるまで生活上の不自由はないケースが多いです。
現在のところ、医学的に有効な治療法はありませんが、ビタミン剤や血管拡張剤は医療保険で認められています。日中は進行を抑えるために、専用の遮光眼鏡を掛けることをお勧めします。
当院ではこの病気に対し、自律神経を整え、網膜の血流を良くすることを目的として施術を行なっています。
《モデルケース》
視野障害が軽度の方:月1回程度通院
視野障害・夜盲がある方:月2回程度通院
免許更新など目標が決まっている方:週1回など応相談
【参考】
図1:『よくわかる病態生理13 眼疾患』p114,日本医事新報社,2009年
図2:『眼科ケア2005年冬季増刊』p13,メディカ出版,2005年
図3〜5:『よくわかる病態生理13 眼疾患』p115,122,123,日本医事新報社,2009年